「時間が一番重要です」

ーー子宮は老化しません。老化するのは卵巣です。

・女性の社会進出により30代や40代になって結婚する女性が増えています。その影響によって妊活を始める年齢も以前と比べて高くなっています。加齢に伴い、女性の卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の数や質)の低下が明らかになっています。

アメリカ産婦人科学会(ACOG)によると、女性の受胎能力は10代後半~20代後半にかけてピークに達します。30歳になると、女性の受胎能力は低下し始め、35歳を過ぎると、低下のスピードが速くなります。

(日本生殖医学会ホームページから)

・卵子の減少は加齢の一部です。年をとるにつれ、シワが増え、新陳代謝が低下するとともに、卵子を失い続けるのです。

 しかし、問題は卵子の数だけではありません。卵子の質も関わっています。45歳〜50歳になると、卵巣に残っている卵子の大半に染色体異常があります。

・年齢だけではなく生活習慣の要因や、農薬など環境有害物質やプラスチックに含まれる化学物質、さらには特定の疾患が、卵子の質に影響を与える可能性があります。

例えば、喫煙は、卵子に害を及ぼし、卵子を早期に損傷させる生活習慣の一つです。そのため、喫煙者は非喫煙者よりも早く閉経することが多くなります。

アルコールも卵子の質を下げる要因の一つです。医学誌「BMJ」に掲載された研究では、21~45歳の女性のうち、アルコール摂取量が非常に多い女性は、1年間で妊娠する確率が18%減少することが分かっています。

・肥満も女性の受胎能力に悪影響を及ぼす可能性があります。米国とカナダに住む妊娠可能な年齢の女性2062人を対象とした研究によると、BMIが35~39の女性は、健康なBMI(18.5~24)の女性に比べ、1回の月経周期で妊娠する確率が22%低下;また、BMIが40~44の女性は39%、BMIが45以上の女性は58%も低下しました。体重が増えすぎると、卵子の質や着床に影響を与える炎症反応が起こりやすいからです。

・卵子の質とは関係のない他の要因も、女性の受胎能力を低下させる可能性があります。

例えば、クラミジアや淋病などの性感染症にかかったことがある場合、卵管に詰まりや傷跡ができることで、受胎能力が低下することがあります。

排卵を阻害するホルモン異常も、受胎能力を低下させる場合があります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、不妊症の原因になることがある。また、子宮内膜症(子宮内膜に似た組織が子宮の外側にできる)も不妊症の原因になりうると言われています。

子宮筋腫(筋肉と繊維組織の良性腫瘍が子宮内にできる)も流産のリスクを高めることがあります。

多くの女性は、不妊が様々な要因によって引き起こされることを理解していません。卵子の健康状態に関して言えば、年齢が上がるほど、女性の受胎能力は著しく低下します。だからこそ、35歳になる前に妊娠のプランを考えることが重要です、つまり「時間が一番重要です」

できれば35歳になる前に妊娠を試みるか、それが無理なら、卵子の凍結保存を考えてください。凍結保存することで、卵子の時間を止めることが目的です。凍結保存した卵子を使って妊娠を希望する場合は、体外受精した受精卵を子宮に戻すことで妊娠が期待されます。

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